担当:岩間

厳道峠伝説・蛇窪



ここは北の秋山と道志村の境をつくる厳道峠。
西に小山を越し、低くなった所に、蛇窪と呼ばれる大きなくぼ地があったちゅうだ。
昔、大羽根の河平と呼ばれる所に住んでいた大蛇が、御成岩を越してこの蛇窪へ移り住むようになっただ。
大蛇はいつも、くぼ地の東端にある大きな岩を枕に寝ていただ。
その大きな岩を仰ぎ見る峰のふちには、常にぶきみな雲をたなびかせていたちゅうだ。
村人には、ここは大変恐ろしいとされちょっただ。
ある時この大蛇がすみかを変えようと、「秋山へ下りようか、道志に下りようか思案中である」という夢が、久保の組長の夢枕にあらわれたちゅうだから大変。
驚いたのなんの久保組の衆はおおあわて。こんな怪物が降りてきちまっては一大事だ。
早速、降りてこないように柵を作ってしまったちゅうだ。こうまでしても、この大蛇は道志を慕ってか、一向に秋山へは這い出す気配も見せなかっただ。
その頃この下の御堂沢筋に立派な阿弥陀様がおられました。
そこで、久保の衆のこの訴えを聞いた阿弥陀様は、この苦難を助けんものと、一生懸命お祈りをしましたところ、
さすがの大蛇も仏さまの威光には尻尾を巻いて、ついに秋山川に向かって下ってしまったちゅうだ。
いまでも久保の円福寺には、江戸時代からの貴い阿弥陀様がいらっしゃいます。